2023.03.31
移住創業者ストーリー
大事なことは「ずっと続けていくこと」
世界を旅した夫婦が、いま宇和島で追いかける夢とは。

Profile
西田 沙織
(DearU うわじまゲストハウス&カフェ オーナー)
大手旅行会社に新卒入社。旅行の企画や接客のスキルを学んだ後に、ワーキングホリデービザを使ってオーストラリアへ。東南アジア、オーストラリア、地中海、日本一周など多くの旅を経験し、その延長線上にある夢を叶えるため2022年、宇和島にゲストハウス・カフェをオープン。

こだわりの詰まったカフェとゲストハウス。全ては旅が教えてくれた。

まず初めに、現在取り組んでいる事業について教えてください。

DearUは、昨年の8月末にオープンしたばかりのカフェ兼ゲストハウスです。オープンから半年ほどですが、徐々に街の人にも知ってもらえるようになり、カフェは地元住民の皆さん、そしてゲストハウスは全国からの旅行者に利用いただいてます。
カフェの看板メニューは、何と言ってもふんわりボリュームたっぷりの「パンケーキ」。宇和島だと、食べることができるのはここだけじゃないかなと思う自信作です。あと、オリジナルブレンドコーヒーもこだわりのひとつで、大洲の焙煎士に依頼して宇和島の海の風、太陽の日差し、柑橘の香りをイメージした中深煎りのコーヒーを提供してます。

確かに、後味がすっきりしてて美味しいです…!ゲストハウスの方はどうですか?

ゲストハウスは、サイクリストやお遍路さん、学生同士の旅行で利用されることが多いですね。1日〜2日ほどの短期滞在の方がほとんどですが、稀に長期滞在の拠点にされる方もいらっしゃいます。こだわりポイントのひとつは共有スペースを広くとったこと。10人程度が入るダイニングで旅行者同士が交流し、会話が盛り上がるシーンも見られるようになってきました。たまに私自身も話に混じったりするんですが、これこそゲストハウス運営の醍醐味だなあと感じてます。
部屋のタイプもそれぞれ個性的で、女性専用ルームも用意しており地元の方にも観光客にも愛されるアットホームな空間を提供しています。

随所へのこだわりを感じますね。これまでどういった人生を歩んで来られたのですか?

私は東京都の小金井市出身で、大学卒業後もそのまま首都圏で、旅行会社のJTBに就職したんです。旅行プランを企画したり接客することが好きで、仕事にもやりがいを感じていたのですが…3年ほど経った頃、学生時代から交際していた当時の彼氏との関係が上手くいかなくなってしまい、失恋をきっかけに自分に足りないものを感じるようになったんです。

それは、どういった…?

例えば「自分の意見をはっきり言うこと」「スポーツができること」「語学が堪能であること」など。自分自身の憧れの姿が、その頃から明確になっていったことを覚えてます。そして、その一環で英語のスキルを磨くことにしました。

身につけた語学を活かせる場所を求めて、その後ワーキングホリデーでオーストラリアへ向かったのですが、そこで現在の旦那さんと出会ったんです。2人でいろんなところを旅しました。東南アジア、ケアンズからウルルまでのサバイバル旅、地中海を周遊する旅、そして日本一周のヒッチハイク旅など、数々の冒険が今の自分をつくっています。根っからの旅人気質だと思いますね。

困難も家族の力で乗り越える!充実した毎日。

愛媛には、何か縁があったのですか?

実は夫が宇和島出身なんです。愛媛に移住したきっかけは、義祖父の介助でした。家族で宇和島へUターンすることになったのですが、最初は初めて住む土地ということもあり不安もありました。ですが、今は穏やかな気候と人々の温かさに恵まれ、都会の生活とは異なる健康的で充実した日々を過ごしています。

なるほど。そこで、移住するなら何か始めようと。

そうですね。せっかく宇和島に住むのであれば、これまで世界中を旅してきた経験から、いつしか夢になっていた「自分達のゲストハウス」を始めたいと思い、いろいろな物件を見て回った結果、ここで晴れて開業することができました。

オープンしてから今まで、困難なことや悩みはありましたか?

何かにすごい苦労した、というのがないのは幸せなことですが、強いて言えば…初めてのことばかりで、例えばカフェや宿泊施設の値段設定や、収支計画などの経営面、あとお金の管理が大変だなとは思います。ただ、オープンしてまだ半年。大変ではあるのですが、この仕事が夢だったので苦には感じないというのが正直なところです。

1歳4ヶ月になる子供の保育園への送り迎えを始め、育児も家事もありますが、夫婦のうちできる方ができることをやるようにしていて、そんな家族のサポートもあり楽しく過ごせています。

これからもずっと続けていくことが大事。

今後について、新たに計画しているチャレンジなどはありますか?

私は通訳案内士の資格を持ってるんですが、コロナ禍も収束してきたこともあり、これからは通訳の仕事で全国を巡りたいと思ってます。あと、夫が今の仕事を少しセーブしてくれることになりお店の仕事を手伝ってくれるので「私が宇和島の観光ガイドをして、夫がそれに帯同し、撮影した写真をフォトブックにする」といった体験プログラムも、ゲストハウスへ宿泊いただくお客様へ提供できたらいいな、なんて考えてます。

夫婦でできることを掛け合わせて、外国人・日本人問わず、多くの人に楽しい旅行を提供したいなと。いま夢は一つ叶いましたが、目標とするところのの70点くらいかな…なんて思ってます。大事なのは「今後もずっと続けていくこと」。もしこの仕事を10年続けられたら、きっと100点満点になるんだろうと感じてます。

ありがとうございました。後に続く移住者や起業家に、メッセージをいただけますか?

移住を考えている人は、気軽に飛び込んでみたらいいと思います。もしダメだったら、元いた場所に戻ったり、他の場所に行くこともできるので、自分の興味を大事にしてほしい。

ですが、移住するなら「それまでの常識は全て捨てる」ことが大事だと、私自身の経験から感じています。当たり前だったこと、普通だったことは、場所によっては全部通用しないので、どんなに経歴に自信があったても、全く新しい自分をゼロから作るつもりでチャレンジしてください!

totop