「おばあちゃんち」を、笑顔溢れるゲストハウスにして
大好きな双海を守りたい!熱き志が叶える夢の実現。

上田沙耶(ふたみファンクラブ)

上田沙耶(ふたみファンクラブ)

愛媛県出身、徳島・横浜育ち。青山学院大学経営学部卒業。大学2年時、一人旅で泊まったゲストハウスにて様々な国籍の人と出会い、「大好きな双海で様々な人が集うゲストハウスをやる」と決意。22歳、現役大学4年生のまま、愛媛の「双海町」へ単身移住。伊予市地域おこし協力隊(双海担当)に着任し、2020年6月には、双海の特産品を集めたオンラインショップ「ふたみおうち便」を開店した。

EGFキャンパスアワード2019-2020で最優秀賞「双海にゲストハウスを作る!」、EGFアワード2020-2021では優秀賞「ふたみ周遊セットプラン ふたみロマンきっぷ」、いよぎんビジコンでは優秀賞「双海最高プロジェクト」など数多くの賞を受賞。

大好きな双海。都会を飛び出し双海に孫ターンその決意とは?

——まず初めに、現在取り組んでいる事業について教えてください。

当初は観光分野で起業を志していたのですが、このコロナ禍では難しかったため、双海の魅力を広めるために地域内を駆け回り色々な人のアドバイスをもらいに行きました。その活動の中で、オンラインでも販売ができる商品を集め、2020年6月1日にはオンラインショップを開店することができました。気さくな漁師さんたちのおかげで双海の特産品の「ハモ」「タイ」「じゃこ天」などの詰め合わせセットの販売を一番初めの足がかりに販売しました。

その後、真面目で仕事人の農家さんたちの協力のもと、双海の柑橘を使った加工品を開発しています。販売にも取り組み、『双海のみかんジュース』『双海丸ごとみかんゼリー』『双海のごろっとキウイジャム』などさまざまな商品を誕生させるることができました。

「この人たちの誇り高い仕事を、多くの人に自慢したい!」という気持ちとともに、「双海のファン・ファミリーを増やしたい、双海の良さを多くの人と共有したい。」今は、そんな思いで加工品の開発や販売に力を入れています。

ーーなるほど、特別な想いがある町のために数多くの人に双海を知ってもらうきっかけを作ったのですね。

はい、毎日必死に双海のことを愛して仕事を頑張っているうちに、いろんなメディアに取り上げてもらえるようになりました。地元の方々が祖父に「お孫ちゃんえらいね」と褒めてくれたり。その声が届いたのか当初はゲストハウスを反対していた祖父もついに認めてくれるようになりました。

「どれだけ説得しても聞かんかった、ここまできたらもう応援しちゃらないかん」・・・今まで何年もがむしゃらに顔を広げたり頑張ってきましたが、本気だと認めてくれた“その言葉”は、嬉しかったですね。

ーーそれは自信に繋がりますね!祖父のその後押しもあり、次にどのようなことを始めたのでしょうか?

2021年3月に、祖父母のお店で休業をしていた「レストラン喫茶ポパイ」を、地元のみんなに手伝ってもらって大掃除をしたりしながら、なんとか週末限定で約10年ぶりに復活させることができました。

レストラン喫茶ポパイには、その昔『野菜たっぷり中華そば』という看板メニューがあったんです。「ポパイの中華そばは、本当に美味しかった」と、よく皆さんから言われていて、これをなんとか再現したいな、と。祖母から中華そばとサイフォン珈琲のレシピだけを教えてもらって、ここからスタートしています。

双海町・上上灘でとれたイリコをたっぷり使用してとった出汁に、地元の100年続く「閏木の醤油」をいくつか配合して作った優しい味のスープが自慢の一品なので、ぜひ皆さん食べにきてもらいたいです。

ーー喫茶レストランの復活から始めて、今は、さらにゲストハウスも手がけていらっしゃいますが、なぜ双海町でやろうと思ったのですか?

私は愛媛県出身なのですが、物心ついた頃には徳島、そして横浜で暮らしていました。なので、双海は小さな頃から父の帰省で遊びに来ていた町という印象です。

双海では祖父母が田舎の商店を営んでいて、おばあちゃんちが大好きでした。毎年親戚が一同集まり、おばあちゃんの得意料理をたらふく食べさせてもらったり、目の前の海で遊んだり、祖父母のお店番を手伝って地域の方に褒められたり・・・と、そんな思い出が私の中で心に深く残っています。

大学生になり、一人でもよく遊びに行っていたのですが、ぼーっと海を見つめている時、この町の寂しさに気付きました。祖母が私に「この町は過疎で、もう終わっとる」と嘆いた時、私に『この町をなんとかしたい』と、強い使命感が湧いたんです。

もう一つ、私の中でゲストハウスをしたいという気持ちに至った経験があります。

高校時代からアルバイトで溜めたお金で、青春18きっぷとリュックひとつだけ持って一人旅に出たことがあります。無計画な旅の中で、なんとなく見つけて泊まったゲストハウスはご近所さんの溜まり場になっていて、みんなで夜な夜なゲーム大会をしました。学校などの決まったコミュニティでは出会うことができなかった“知らない土地の知らない人”との出会いがある。一人旅は、私の中で刺激があり中毒性がありましたね。

国内だけでは留まらずタイ、カンボジア、ベトナム、スペインなど国境も超えて一人旅をしてゲストハウスに泊まっては、たくさんの人に出会いました。そして、私の中で「自分がもしゲストハウスをしたらたくさんの人が集まって出会いがあって面白いだろうな」という思いが頭の片隅に生まれたんです。

色々な経験を得て「双海のおばあちゃんちを守りたい」という想いが合わさりました。ひいじいちゃんから始まり、祖父母が大切に守ってきたお店を守る。そして、たくさんの人を呼ぶことで双海を盛り上げ、双海の誇りを守っていきたい。祖父母のお店を「泊まれる喫茶店 ポパイ」として生まれ変わらせる原動力になりました。

創業を志した時、起業家の先輩の言葉に流した涙。

ーーご自身の経験から行動が生まれて、ついに具現化したのですね。夢を実現するにあたって、これまでに何が一番大変でしたか?

日々の決断の重さ、不安、1人で全てやらないといけないのはマラソンを走り続けているかのような過酷さがありますね。自分がやらないと何もできないことへの焦りや、体が一つでは足りないもどかしさもありました。

以前、現役大学院生でありながらゲストハウスオーナーの起業家でもある先輩に、学生起業家の集まりへ招待いただいたのですが、「なんで?なんで?」というロジックで自分のビジネスプランを深掘りされたとき、何も言い返せなかったんです。思わず、悔し涙を流してしまいました。その経験をしてからは、毎日、書店に通っては地方創生や起業の本を読み、本気で考え行動しました。

そしてもう一つ大変だったことは、祖父母の理解を得ることでした。ゲストハウスへの一歩として友達を連れて行ったのですが、おばあちゃんは「知らない子を家に泊めるのは…」と嫌がる反応。理由を考え「家が汚いから嫌なんだ」と思い大掃除をしたら、おじいちゃんは「もう帰ってくるな!」と大激怒。意味がわからず、大喧嘩をして、なんで反対するのか見当がつかず大変でした。

笑顔溢れる一期一会の出会い、地元の方と宿泊者が交われる空間作りで双海のファンを増やしていく。

ーー今後のチャレンジや新たに計画していることを教えてください。

今は、ふたみファンクラブの法人化を目指しています。これからも商品開発を手がけ、地域商社として活動すること、そしてポパイに、さまざまな方との一期一会を生み出していくこと。産業と観光の両面から、双海を盛り上げていきたいと思ってます。

ーー後に続く移住者や起業家へメッセージをお願いします。

もし、あなたに作りたい未来があり、「自分がやらなければ誰もやらない」という使命感を持てるなら、起業して道を作っていくしかないと思います。信念を持って、心を熱く燃やし、愛を持って頑張りましょう!