INTERVIEW百色移住インタビュー

移住して手に入れた、時間の豊かさ。 移住者同士のコミュニティを作り、松山の良さを発信していきたい。

黒木伸一さん

どこででも仕事ができるなら

東京生まれ東京育ち、豊島区の池袋で生まれ育った黒木さんが松山市に移住してきたのは、2020年10月。移住を強く意識するようになったきっかけは、新型コロナウイルス感染症の影響でリモートワークが急速に浸透したことだった。「もともと、EQ(感情知能)を高める人材を育成するコンサルタントの会社を起業していて、海外にもお客さんがいたので、仕事はどこでもできるという体制を作っていました。それまでは、『スカイプやZoomを使って打ち合わせしましょう!』と提案しても、お客さんに受け入れられなかったのですが、コロナウイルスによって一気に、リモートワークが進んで、本当にどこででも仕事ができるようになったことで、移住を真剣に考えるようになりました」と黒木さん。
リモートワークで仕事ができるようになり、東京にいる必要性を感じなくなった黒木さんは、「もっと自然があって家賃が安いところで暮らしたい」と思い始めた。ただ、自分の希望だけでは移住が難しいと考えていた頃に、良いタイミングで奥様が「地方に住んでみたい」とポロリとこぼし、「今しかない!」と移住の準備を始めたそうだ。「今でも妻は、東京の会社に勤めたままリモートワークをしています」と、リモートで仕事ができるようになった環境が移住の追い風になったと実感している。

移住先は、お遍路さんの時に感じた心地よい記憶と利便性で決定

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生まれも育ちも東京の黒木さん夫婦は、生まれ育った地域に戻るという選択肢はなく、「地方だったら、どこへ移住をしようか?」と考え始めた。まず、奥様に提案したのは札幌や金沢。しかし、寒いところが苦手な奥様により、雪国の候補はたちまち消えた。次に学生の頃にお遍路を経験していた黒木さんは、四国の中でも愛媛県の雰囲気が好きだったことを思い出し、移住先の候補として愛媛県が挙がった。
愛媛県内の候補としては、県内の他の市町も挙がったが、仕事はどこでもできるとしても、実際に取引をしているお客さんは東京に多く、空港と街の近さといった利便性が松山市への移住を後押しした。
「空港の近さで言うと、福岡県と愛媛県でも悩んだのですが、博多だとビルが立ち並ぶ風景が東京とそんなに変わらないかな、というのがあって松山にしました。妻が移住したいと言ってから1ヶ月後には松山を見に来ていましたよ(笑)」と笑う。

松山で暮らすようになって大きく変わったこと

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松山で暮らすようになって体調が良くなったという黒木さん。生まれてからずっと東京だったため、松山に移住するまで気がつかなかったが、知らない間にストレスを受けていたということに気がついたという。
「胃腸が整って、身体が軽くなったように感じます。都会では満員電車に乗ってイライラしている人に囲まれていますし、駅の構内を歩くだけで『後ろが混んでいるから早くしなきゃ』とか色々考えて暮らしていたと、移住して来てから改めて気がつきました。都会は都会で面白いんですけど、無意識のうちにストレスに感じていたんだなって。松山での暮らしは、家を出た瞬間に空を見上げたくなるし、深呼吸をしたくなる。夜は星を見ようとしてみたり、そんな日常を過ごしています。」
仕事の気分転換や仕事後の時間の使い方も大きく変化した黒木さん。仕事の息抜きには、総合公園に歩いて登り、ぼーっとしたり、本を読んだりしているそう。時には仕事を早く切り上げて、梅津寺へ向かい、カフェの「ブエナビスタ」でビールを飲んだりすることもあるそうだ。「海を見ながら、まだ明るいうちからビールを飲む時間は最高に贅沢な時間です。東京にいる時は考えられませんでした」と話す。

リモートワークで共働きの夫婦の大事なバランス

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また、夫婦でリモートワークをしている黒木さん夫婦は、家事育児もバランスよく協力しながら行なっている。「担当や当番にしないで、フレキシブルにできる方ができることをしています。仕事の気分転換にもなるので、子どもの幼稚園のお迎えはよく行っていますね。また、凝った料理がしたくなった時は、家族に手料理を振る舞います。妻も働いているので、できるタイミングの方が、できることを・・・協力しながらですね」。

移住したからこそ感じる人との繋がりの大切さ

移住後の生活には不自由を全く感じず、仕事は今まで通り行っているものの、移住して1年が過ぎた頃に感じ始めたのは、『地域のためにもっと自分の力を使いたい、地元の人たちともっと繋がっていきたい』ということだった。
「移住してすごく良かったと思っています。ただ、私のように地元がこちらではない人はなかなか友達ができにくく、もっと地域に溶け込んでいきたいなという想いが芽生え始めました。まだ、考えは漠然としているのですが、移住者同士のコミュニティを作って、松山の魅力を外に発信していければいいなと思っています。松山市主催の移住者交流会『まつやま日和』に参加したのですが、そこから繋がった人がたくさんいて、プライベートで会うと、松山のいいところや不思議なところで盛り上がりました。移住する前に知っておきたかったことも含め、移住者の目線でそういったことを発信していければいいなと思っています」。
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さらに、偶然にも東京での仕事の繋がりが松山での仕事にも繋がったりもした。
「東京では、水素カプセルのサロンも経営していたのですが、その繋がりで、三津浜のボディメンテナンスサロン『lifetime』さんをご紹介いただき、水素カプセルを納品させていただいています。プライベートでも疲れが溜まった時は、ここにきて定期的に水素カプセルに入っています。オーナーの福岡さんとは何気ない会話をしたりするのですが、その度に地元の人と話すことの大切さを感じます」と黒木さん。「松山でも東京でも人との繋がりが大事なことは変わりません。これからは、松山のために自分の経験などを使っていきたいですし、私のように移住して来て良かったと思う移住者を増やしていきたい」と語ってくれた。
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「lifetime」さんに納品したという水素カプセル。「疲れがとれます」と黒木さん。

松山暮らしの本音を教えて!

Q お気に入りの場所は?

梅津寺にある「ブエナビスタ」です。夏の明るいうちから飲むビールは最高ですよ。あと、三津浜の「lifetime」さん。ここの水素カプセルは手前味噌ですが、水素濃度が圧倒的に濃いすごいカプセルなんです!四国ではここでしかまだ体験できません!

Q 移住者へのアドバイスは?

移住をする目的が「心を豊かに暮らしたい」という理由なら移住してくるべきだなって思います。通勤時間が減って、住環境が広くなって時間にも空間にも余白が生まれます。同じ時間でも一瞬一瞬を味わいながら生活ができるので、それが「心の豊かさ」に繋がっている気がします。移住前にある程度リサーチして移住したので、多少不便になるということは気になりませんでした。というか、全く不便はないです!

Q 松山に来て驚いたことは?

いまだに「この大きさでこの大根が100円?」って驚いてしまいます。また、こちらの人は自分たちのことを「保守的」と少し自虐的に言うことに驚きました。人との繋がりを大事にしていたり、昔からあるものや風習を大事にしているという側面もあるので、「保守的」って卑下しないで誇らしく思ってほしいなと思っています。

黒木伸一さん

株式会社4C代表取締役。東京都豊島区生まれ。EQ(感情指数)に着目したコーチングを企業向けに行う。2020年に家族で移住、リモートで仕事をしながらもプライベートでは松山の移住者コミュニティの立ち上げを計画中!明るくユーモラスな人柄が魅力。

移住時の年代
30代
家族構成
夫婦と子供
移住スタイル
Iターン
移住時の年代
30代
家族構成
夫婦と子供
移住スタイル
Iターン