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今治のヒト

今治で活躍している人にインタビュー

ラジオパーソナリティー ナナさん

 「それで?」「それから?」「えー!そうなんや!」ナナさんと話すと、ついつい話し続けてしまう。「知りたいから教えて!」そんな雰囲気で、多くの今治市民の声を電波に乗せてきた。今日もラジオの向こうから、いつもの明るい声が聞こえてくる。

きっかけはフリーペーパー

 今治市出身のナナさんがラジオに関わったきっかけは、地元今治のフリーペーパーに載ったパーソナリティー募集の記事だった。普段ラジオを聴くわけでもなく、学生時代に放送部だったわけでもない。ナナさん曰く「ラジオのラの字も知らない人」だった。

 それまで経験した仕事は、「話すこと」が主となるバスガイドや結婚式場の司会のアシスタント。子どもの頃から人前に出ることが好きで、高校時代にはイベント業に関わりたいと考えたこともあった。行事やイベントをうまく進行させ、仲間とその楽しさを共有する。そんな記憶から、ラジオ局をゼロから作るという仕事に反応したのだろう。

素人からラジオの世界へ

 ラジオ局とはいえ当初はイベント放送局で、1999年5月のしまなみ海道開通を記念して開局した「しまなみばりばりFM」という約2か月半の期間限定だった。「やってみたい人ウェルカム!」の雰囲気のもと、ナナさんを含む素人パーソナリティーがボランティアで集まった小さなラジオ局だったが、2002年の2月には愛媛初のコミュニティ放送局「今治コミュニティ放送株式会社」が立ち上がり、「FMラヂオバリバリ(ラヂバリ)」として本格的にスタート。ナナさんはメインパーソナリティーとして採用される。

 パーソナリティーの仕事は、放送など表に出ることから、収録番組の編集といった裏方仕事までいろいろだ。下準備のため機材の確認や、その日に何を話すかまでコーディネートもする。「ひとつにまとめ上げる達成感が楽しい。」とナナさん。時にはイベント等の司会の依頼も。かっちりした式典は苦手と笑うが、「あえて私に声がかかったということは、この人なら、と思っていただけてるのかなと感じます。」今やベテランパーソナリティーとなったナナさんへの信頼度が感じられる。

コンプレックスを武器に変える

 「自分は運よく拾ってもらえて、たまたまここにいる。でも、続けてきたことが力になっていると思います。」そう語るナナさんの看板番組が、『すっぴん小町』だ。ラヂバリ開局当初から18年間変わらずナナさんがパーソナリティーを務めている。「当初は30分、それが1時間にしようか、もっとしゃべれるんじゃない? しゃべりたい、しゃべれる、しゃべろう!と、今では2時間半!」と、月曜から金曜まで毎日生放送だが、大変さは感じない。

 そんなナナさんだが、「話すこと」にコンプレックスを感じたこともあった。自分には基礎がない。プロのアナウンス講座で勉強をした方がいいのでは? モヤモヤとするなか、改めて他局のラジオを聞きながらふと思ったという。誰かに習った話し方は、逆に足かせになる。であれば、何も知らないことを武器にしてしまおう。それ以来、積み重ねてきた自分のスタイルが個性となり、自信にもつながってきた。

 『すっぴん小町』では、市内各地の「すっぴんリポーター」と呼ばれる市民リポーターたちに電話をつなげる。「1人10分のところ盛り上がって15分話していると放送時間はあっという間」だそう。そこにあるのは「もっと聞きたい、もっと伝えたい」思い。「例えば市内の美術館の学芸員たちから週替わりで話を聞きます。会話からもれる人柄を含めて情報を発信できるのはラジオだからこそです。」合い間には、毎日聞いてくれているリスナーが何かのきっかけで初メールをくれることも。そんなことを伝えるのも嬉しい。

ラジオを通して人が出会い、発信する場に

 ラヂバリのスタジオには来客が多い。定期的に収録にくるパーソナリティーや新しいゲストなど、情報発信したい人、元気な人たちが出入りしている印象だ。「あ、誰か来た!と、毎日新鮮。目の前で情報交換したり、新しいことがつながっていくのが見えて楽しいんです。」とナナさん。それはラジオ局としては当然のようで、実は違うようだ。

 「今でこそ愛媛にはコミュニティ放送局が3局ありますが、一番初めに開局したのがこの今治のラヂバリです。当たり前に誰かが何かをしていて、元気な活動をしている市民が多いからこそ、20年近くも地域のラジオが支えられています。これは今治ならでは。」と、今治でやりたいことを、ラジオを通してどんどん発信してほしいと語る。

 常にラヂバリに関わっているパーソナリティーやリポーターの数は100人を超えている。開局当初からかかげている目標は、「今治市民みんなの声を届けたいということ。みんなが一度はラジオに出たことがあると言ってもらいたい。それにはもっとスタジオの外にも出ていきたいし、ぜひ若い方にも関わってほしいですね。」日々努力を重ねてきたナナさんになら、不可能な夢ではないだろう。