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今治のヒト

今治で活躍している人にインタビュー

写真家 竹國 照顕さん

 今治と尾道で写真教室を主宰し、写真イベントの企画や広告デザインも手がける竹國照顕さん。「写真」を軸に、枝葉を広げるように活躍中だ。

デザインの世界から写真家へ

 尾道市出身の竹國さんは、広島市内の制作会社でグラフィックデザイナーとして長く経験を積んだのち、仲間たちと制作プロダクションを起業する。アートディレクターとして多くの広告制作に携わるなかで写真に造詣を深め、2014年に生まれ育った尾道にUターンして独立。自身の制作プロダクション「クレアテゴ」を設立したところから、竹國さんの写真家としての挑戦が始まる。

写真教室のスタート

 きっかけは同級生の何気ない「写真が上手いんだから、写真教室をしたら?」という言葉だった。それは独立して間もないころ。まだクライアントもおらず、何から始めよう?そんな時期だった。誰もがスマートフォンで日常を撮影できる時代。SNSには「映える」写真があふれる反面、あえて一眼カメラで人とは違う写真を撮りたいというニーズもある。そうした背景から写真教室を始め、結婚を機に拠点を今治へ移した2016年からは、「Setouchi PHOTO 写真教室」として本格的に始動。市内外から生徒が集まる人気教室に。

 教室と並行して行ったのが、さまざまな写真イベント。著名な写真家を招いてのトークセッションやショッピングモールでの写真展に、夜景や花火の撮影ワークショップなど、どれもこれまでありそうでなかった企画だ。「自分たちが会いたいなと思う方を招いて、今治を撮って全国に発信してもらうと同時に、参加者にとっては地元では会えない著名な写真家に会えるチャンスになります。」今治の地がおもしろいと感じるきっかけになればと、そのやりがいを語る。

地元での活動と写真への思い

 一方で、今治を拠点とする写真家としての仕事も手がける。今治地方観光協会とともに取り組んでいる"ふぉと旅"では「来島海峡大橋夕日ストライク」という撮影会をはじめ、いろいろな撮影会企画を行っている。これは今治を旅感覚で散策するとともに写真撮影を楽しむというもの。2019年にはその発展版として、「いまはるフォト旅 チャレンジカップ in しまなみ」と題した"写真対決イベント"に参画。10代~70代までの幅広い世代間でチーム戦を行い、写真という共通言語のもと互いの感性を通わせる今までにないイベントになった。今後は他県の写真家とも連携して写真で繋がりたいと、次への夢が膨らんでいるそうだ。

 こうした竹國さんの活動の根底にあるのは、写真への深い愛情だ。写真教室に通う生徒さんは、互いに作品を見せ合ったりSNSに投稿したりといつもにぎやかなのだそう。「毎日が家と職場との往復だけではなく、写真がその人の人生の彩りにつながっているのがうれしいんです。」と、生徒たちが写真に夢中になっていく様子を微笑ましく語る。スマートフォンのカメラの性能が上がる一方で、スマートフォンが一眼カメラに置き換わる傾向が顕著で一眼カメラメーカーの悩みとなっている昨今、写真教室の活動を通して一眼カメラを楽しむ人が一人でも今治に増えたら、そんな願いが込められている。

地方を拠点に世界を広げる

 広島、尾道、今治と、地方を拠点にしてきたことについて尋ねてみると、「都会であれ今治であれ、自分がどうしたら楽しくあれるか、どうしたらいい仕事ができるかという視点で物事を捉えるだけで、逆に世界が広がります。」と、写真教室やイベントを企画してきた竹國さんらしい答えが返ってきた。そこにないなら自ら作り出そう、それが楽しめると強いエネルギーに変わる。その力があれば、どこにいようとハンデはないようだ。

 竹國さんには今、ひとつのアイデアがある。写真家が"撮影の体験ごとプロデュース"する家族写真「お出かけ写真館」だ。家族の撮影依頼を受けた時の話、子供たちが砂浜を走るシーンを撮っていたら、「ワシも走ろうかの!」と、おじいちゃんも飛び入りで走り出し、しまいには家族全員がジャンプ! そんな素顔の家族の表情を撮ったことがヒントになった。スマートフォンで大量に撮った「データ」はやがて埋もれてしまうけど、出力してモノに変えた「プリント」は、すぐに見れて体験とともに会話を引き出すツールになる。従来の型にハマった家族写真とは違う、生活の中の写真の在り方を"再提案"したいというのが、竹國さんの新しい挑戦だ。

 写真の遊び方を提案し、企画を作り、参加者や生徒たちと一緒に楽しむことで、従来の「カメラマン=撮影者」の枠から一歩踏み出してきた竹國さん。「センスは良いものを見ることで磨くことができます。撮影技術はそれを再現するもの。ファインダー越しにときめくものがたくさん見つかると素敵ですね。」今治の人、風景、日常のなかで、そういう経験をたくさんしてほしいと、今日もカメラを片手に駆け回っている。